私学を含めた高校授業料の無償化。いよいよ現実的なものになりそうだ。
2025年度は公立高校の授業料分118,800円にとどまるけど、2026年度からは457,000円をベースに引き上げられる、そんな話だ。
これに賛成か反対かという話はここではしないけど、懸念されることは山のようにあるんじゃないか。
基本的には私学は歓迎だろうね。生徒募集に追い風が吹く。
授業料負担がなくなれば、費用面の差が大きく縮まって募集しやすい。
ただ、「公教育」は今後どうなってしまうのか…と思わないわけではない。
これは僕の知識の中で考える、千葉県の私学についての話。
前提として重要なことを書いておくと、千葉県の公立と私立の募集定員の比率は「7:3」程度になるよう維持されている。県教委がこれを変更する方針をとるとは考えにくい。
また、私学は国や県からの「補助金」を得て運営しているという側面がある。
しかし、この補助金、入学生が定員を大きく超過するとカット(千葉県の場合)されてしまう。これは各私学にとって大きな問題だ。
コロナ禍以降、私学の対応スピードや柔軟性などが評価されて、私学へ進学を希望する中学生が確実に増加した。
これによって県内の私学で起こっていることは?
想像できるよね。
「パンク」
想像以上に受験者が増える、入学者が増える、定員を超過する。
補助金がカットされる、教室が足りない、教員が足りない………などなど。
そして、近年、現実に起こっていることが、
〇併願推薦の廃止
〇推薦基準の引き上げ
〇一般入試の高倍率化
だ。
現実に、今年の入試でも一般入試において、数えるほどしか合格を出せていない学校が少なくない。
「一般入試」=「絶望入試」みたいになっている。
だって、「15人受けました、合格者1人でした、実質倍率は15倍です」と言われたら、希望をもって受験できる?
ある学校では「合格者0名」もある。もはや、「入試」の体をなしていない。
でもね、私学だって不合格にしたくてしているわけじゃなくて、やむを得ないということ。
そこに「私立も授業料無料」になれば、現状に輪をかけることになりかねない。
実現すると、単願希望が一定数増加するから
〇推薦基準が今以上に引き上がる?
〇併願推薦はどんどん縮小される?(僕は併願推薦反対だから構わないが)
〇併願推薦を残せば一般入試は続けられなくなる?
〇単願で生徒が集まれば一般入試はさらに狭き門に?
こうなれば、最終的に困るのって受験生と家庭なのでは?
私学だって諸手を挙げて喜べるわけではないのでは?
心からそう感じるんだよね。
私学の方が施設にも環境にも教員にも費用をかけられるから、子どもたちの環境が良くなるのは当然で、税金で賄われている公立高校に敵う訳がないのだけど、
それでも、「『公教育』としての良さ」みたいなものを打ち出して整備していかないと、公立高校も衰退してしまう。
「少子化対策」としての施策(本当に少子化対策になるのかは??)だから授業料を、ということなんだろうけど、やはり「教育」なので、どうせ税を投入するなら「公教育の質」に目を向けた方が良いのかな…と思う。
私学に通うには費用がかかるから、今までこの絶妙なバランスを保っていたんじゃないかな。
私立に合格できなかったから「仕方なく公立」となれば公教育はどうなってしまうのか。
魅力ある公立高校にするためになにかしないと…と思うのは僕だけだろうか。
もう1本、懸念される私学の「便乗値上げ」についても。
コメント