たまたま読んだ「文春オンライン」の特集記事。
今年プロ野球を引退された和田毅投手(元福岡ソフトバンクホークス)のインタビューだったんだけど、すごく大切なことが語られていたから紹介したい。
まず、和田投手を簡単に紹介。
1980年生まれの43歳。プロ野球界では「松坂世代」と言われる世代の最後の選手。
島根県の浜田高校で甲子園大会に出場。早稲田大学へ進学し、東京6大学野球では通算476奪三振という記録を作る。そして福岡ダイエーホークスに入団。1年目に新人王を獲得し、日本シリーズでは完投して胴上げ投手に。その後も活躍を続け、海外FAを取得して海を渡り大リーグも経験。日本に戻ってからも第一線で投げ続け、日米通算165勝を積み上げた。
記事を読んでいて「さすがだなー」と思わされたこと。
人生の岐路(簡単に言えば進路選択)で、常に『その先』を見つめて努力されていたということ。
スポーツにも勉強にも共通して言えることだから、引用を交えながら書いていく。
たとえば、高校進学で浜田高校を選んだときは…(以下引用)
僕は島根県出雲市出身ですが、野球の強豪校と言えば何度も甲子園に出場している地元の大社高校(出雲市)が有名。でも僕は浜田高校(浜田市)を選びました。中学の時にそれぞれの高校の進学先を調べたところ、大社高校は関西圏が多く、浜田高校は関東が多かった。僕は神宮での六大学野球に憧れていたので、浜田高校を選びました。
「全国大会(野球なら甲子園)に出れる学校」って探す中学生はいくらでもいるけど、この競技に人生をかけていて、「高校進学→甲子園→大学進学→六大学野球(憧れ)」と、中学生にして、「先の先」まで考えて選択されている!
しかも、「人に勧められて選んだ」のではなくて、「自分で考えて決めている」姿勢もさすがと思った。もちろん、いろんな人の助言はあったと思うけど、最終的に自分で決めたことなら、どんな結果でも後悔が少ないだろうし、がんばろう!って思えるしね。
僕もいつだったか、フルマラソンでオリンピック選手(銀メダリスト)の森下広一さんの講演を聞いたことがあるんだけど、「夢は人を強くする」って言葉は今でもよーく覚えてるんだよね。和田さんもその「憧れ」が心を強くしたのかな。
次にプロ野球を意識し始めたあたりでは…(以下引用)
2年の秋のリーグ戦が終わるころから、プロに行けるかもと思うようになりました。それまでは高校の教師になって野球部の監督になることを考えていたので、教職課程は全部履修していたんです。まさか自分がプロに行けるとは考えていなかったので。
ただ、プロ入りを意識し始めてからは、1年間フルに投げて、新人王を取れるレベルまで自分を引き上げたいと思いながらマウンドに上がっていました。476奪三振はその結果論だったと思っています。
将来のことを考えて教職課程を…というのはよくある話だけど、プロを意識してからは、「新人王」レベルを意識して努力していたとは、これは頭が下がる。
「プロ野球選手になる」ということじゃなく、プロの世界で「トップレベルの活躍をする」ことに照準をおいていく。「その先」を見る視点はブレていない!
でも、このくらいのストイックさがないと、プロの世界では生きていけないのかもしれないな…。
さらにはプロ入り後、メジャーを意識していたのか?の質問に…(以下引用)
プロに入った時から視野に入れていました。メジャーで通用する選手になりたいという思いでその前の9年間やっていたので。2012年からボルティモア・オリオールズに入団し、そして2014年にはシカゴ・カブスに移籍しました。
ここもすごい。「大リーガーになる」ではなくて、「メジャーで通用する選手」を意識して9年間やっていた…。
この方のストイックさ、本当に恐ろしい。
常に「その先」を見つめていたら、どんなに厳しいトレーニングにも耐えられたし、より柔軟な発想で新しいこともどんどん取り入れられたんだろうと思うな。
そして、年齢を重ねても進化できた理由についてはこう語っている。(以下引用)
自分では進化しているかどうか分からないけど、好奇心と挑戦魂は人一倍ありますね。身体に関することや野球のデータ解析などの情報には常にアンテナを張り、疑問に思ったことはすぐに調べたり専門家に聞いたりします。トレーニングにいいと思えば取り入れますし、若い選手の情報も貴重なので「それは何?」とすぐに聞いちゃいますね。実際やってみて違うなと思えばやめればいいだけの話ですから。ジャンプアップするには、まず自分を実験台にして挑戦してみる。
この思考の原点になったのは、(早稲田)大学1年生の時のフォーム改善。1か月半で球速が15kmアップしましたけど、フォームを変えるって投手にとってはものすごく勇気がいることなんです。でも、だめもとで挑戦したら成功した。だからどんなことでもやってみなきゃ分からないし、もしダメでも挑戦しないよりはいい。僕は根本的に、失敗したときの怖さを何とも思っていないんですよ。
そもそも、身体にも恵まれず才能もなかった僕がプロの世界で22年間も第一線でやって来られたのは、好奇心とチャレンジ精神、そして失敗しても「上等じゃねえか」と恐れなかったことだと思いますね。
成功する人の思考が散りばめられている、そんな話だよね。
飽くなき探究心をもって、好奇心とチャレンジ精神を失わず、失敗を恐れずに努力のできる方だということだ。
大きな怪我もあったし、失敗も数々あったのだろう。しかしそのすべてを次への糧にして、チャレンジする自分を見失わなかった。これが和田投手のすごさなのかな…と、記事を読んでいて感じたね。
あと、これは別記事なんだけど、若い選手たちの練習についてはこんな話も…(以下引用)
僕は若いときはガムシャラに練習した。特に19、20歳は無心でやっていたと。今は効率的なことを求められる時代で、それが成長につながる部分でもあるけど、僕は質を上げても量をしないといけないと思う。当然、質も高めつつ、量をやるべきなんじゃないかなと思って言いました。体の強さを彼には量で。むちゃできるのは今、若い今しかない。
量と質の論議は絶えないけど、練習の質が上がって成長するというのは、「量をある程度こなした」ことが大前提なんだと思っている。
これは子どもたちにもよく伝えていることだけどね。
「楽して稼ごう」なんて都合の良い話はなくて、僕たちのような凡人は苦労が前提にあるよ。
22年間、プロの一線級で活躍された方の言葉は、やっぱり説得力ある!
最後にはこんなコメント(これは文春さん)も。
野球に限ったことじゃなくて、人生においてチャレンジすることって一番大事だと思っているんです。僕も挑戦者魂はいくつになっても持ち続けたいですね。
年の終わりに学び多きインタビュー記事、文春さんに感謝感謝!
引用元の記事は以下から。
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